デミタスってなに?

そもそもデミタスコーヒーってなに?という話をしましょう。

デミタスというのはフランス語由来で、
発音良くドゥミタッスと呼ぶこともあります。
ドゥミはドゥミグラスソースなんてよく聞きますが、「半分」という意味です。
タッスは「カップ」のこと。
半分サイズのカップということです。

左がレギュラーカップ(120〜130cc)/右がデミタス(70cc)

歴史を紐解くと、ナポレオンの大陸封鎖令によりヨーロッパにコーヒー豆が入らなくなった際に、わずかなコーヒー豆でそれでもコーヒーを提供するためにこの小さなカップが生まれたそうです。

このようにデミタスというのはコーヒーの種類ではなく、カップのサイズのことなのですが、
日本の珈琲店でデミタスというメニューがある場合には、たいていネルドリップ抽出で”エキス採り”をした、濃度を詰めた珈琲を指すことが多いでしょう。
それは銀座の名店カフェドランブルの影響によるものだろうと思います。

ネルドリップで作る”エキス”の濃さというのは、エスプレッソシングルの濃さとは違ったものになります。
エスプレッソが全部を出し切る濃さとすると
ネルドリップのエキスはコーヒーの一番搾りの濃さと言えるでしょう。
濃く澄んだ濃縮液なので、舌触りと味の広がりがなめらかで、刺激はほどほど、冷めても風味が劣化しないものです。

エキス採り

豆量と抽出液量は店によって異なります。
当店は20gの豆で60ccの液を取ります。
レギュラー(120cc)のちょうど半分の液体に味と香りを詰め込むので、濃さは大雑把に2倍です。

コーヒー業界全体を見渡せば、
端的に言って「液量インフレーション」の時代に思えます。
「よりたっぷり」
「より大きなカップに!」
アメリカ人のようなコーヒーの飲み方が世の中の普通になってきたことを悪いとは思いませんが、
コーヒーの中心座標はそちら側にあるのだろうな、という認識はあります。

一方で、そんななか
より小さいカップに珈琲のエキスを凝縮させることに情熱を注いでいるのですから、これは間違いなく面白い世界なのです。

デミタスについて書こうと思ったら、
書きたいことが溢れてきてしまったので
今日はこのくらいにしておきます。
次は
「カップ」について改めて語りたいと思います。