デミタスカップの”用”


デミタスカップのサイズには幅がありますが
50cc〜80ccの容量のものは全てデミタスと呼べます。

似たものにエスプレッソカップという器もあり、
それもデミタスに含まれますが、
基本的にエスプレッソに使うために設計されたカップになります。
エスプレッソカップは装飾が簡素で厚手の器が多いようです。
エスプレッソに厚手の器が好まれる理由はおそらく液体の重みに合わせてのことで、その方が口にどっしりフィットしますし、扱う際の重心も生まれるでしょう。
低単価高回転ドリンクなので耐久性も重要なところです。
個人的には背の低い口広の形状のものの方がサザナミのように液体が打ち寄せて心地良いものです。

そんなエスプレッソカップをネルドリップのエキスに使うことも無いわけではありませんが、あまり見かけません。

食感が魅力のエキスコーヒーには液体がスーッと舌まで届く薄手の器が最良に思えます。


深煎りのネトーっとしたエキスには、やや厚手の器を使いたくもなりますが、その場合、私は下膨れのボッテリしたフォルムのものを当てたりします。

機能とは別に、それを持った時の心持ちも重要だと思います。
いわゆる「背筋が伸びる」というやつで、
液体が透けるほど薄く、繊細な技巧を凝らしたカップを持つと自然と「味わおう」という気持ちに向くものです。

それを言葉にして「味わって飲んでくれ」なんてヤボな事は絶対に言えません。
そんなことを言われた時点でもう味わう気持ちも失せるというものです。

最終的な飲み方はお客様の自由ですが、
自然とその珈琲に期待感を持たせる装置の一つがカップだろうと思います。